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今週の都政新報
 

3.11から1年/今、伝えたいこと/生産者と消費者が対等に/作家 堀米薫/これが夢だったらいいのに/福島大学行政政策学類教授 今井照

 「ちくしょう……」
 ろうそくの細い灯(あか)りの中で、夫がうめいた。
「今も津波の現場では、冷たい水の中で助けを待っている人たちがいるんだぞ!」
 私の住む角田市は、ひと山越えて沿岸部だ。
 原発事故で放射能汚染が明らかになると、東日本大震災の報道の流れが変わった。被災地の惨状をよそに、東京中心の報道が連日のように繰り広げられる。
 我が家は、事故を起こした原発から北西に67キロ。次々と起こる爆発に、私自身も恐怖に震えた。
 しかし、夫は「俺は、牛を置いて逃げることはできない」と言い切る。これまでも、自分たちの命を支えてくれた牛たちだ。その言葉に、私も覚悟を決めた。
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