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映画『ゲバルトの杜~彼は早稲田で死んだ』/内ゲバの時代を歴史物語化するために/監督 代島治彦

■「川口君事件」後の早大生の蜂起、そして敗北
 『ゲバルトの杜~彼は早稲田で死んだ~』は1972年11月8日に早稲田大学文学部キャンパスで起きた「川口大三郎君リンチ殺人事件(以下、川口君事件)をきっかけにエスカレートしていく新左翼党派間の「内ゲバ(内部ゲバルト)」を主題にしたドキュメンタリー映画である。「川口君事件」そのものは、しかし内ゲバではなかった。早大文学部自治会を支配する革マル派が、当時2年生だった川口君を中核派のスパイと思い込んで査問し、凄惨なリンチの末に殺し、その遺体を東京大学病院前に遺棄したという殺人事件である(川口君はスパイではなかった)。リンチしていた教室の前まで文学部教務担当職員が何度か確認に行ったものの、結局事態は放置された。大学当局と革マル派は当時、今で言うウィンウィン、持ちつ持たれつの関係にあったのだ。
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