デザイナー、区役所へ 目黒区広報課 大谷信広(1)/自由人、公務員デザイナーになる。/外部目線で「分かりにくさ」改善 「目黒区広報課係長」。これが新たに与えられた役職である。入庁の半年前までデザイン会社のアートディレクターとして企業からの依頼に忙殺される毎日を過ごしていた。 デザイナー歴29年、手掛けたデザインは数千を超え、映画、家電、飲食等の多様な業界で、ポスター、パッケージ、ウェブサイト等の様々な媒体に関わらせてもらった。 とても充実し、恵まれたデザイナー人生だったが、ここ数年、惰性で仕事をこなしている自分に気づいた。業界全体がかつての活気を失い、予算ありきの予定調和を求める傾向が強くなり、クライアント側からの要望も「売れたデザイン」の要素を模倣するようなものもあった。新しいものを生み出そうとする気概よりも、いかに低コストで平均以上の成果を出すかにとらわれているように感じた。そうなると自分がデザインする意味をだんだん見いだせなくなり、モチベーションは次第に低下した。 五十歳を目前にして、この辺りが潮時かと引退を決意。あっさり退職し、しばらく日本各地を旅して回った。 ◆都政新報・電子版(http://www.tosei-d.com/)にご登録(有料)することで全文をお読みいただけます。
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