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国指定史跡・荻外荘の公開によせて/戦争と平和、語り継ぐ場に/杉並区教育委員会事務局生涯学習推進課文化財係長 徳重淳子

 都内でも名建築めぐりがブームとなり、歴史的建造物が新たな観光資源として注目を集める中、杉並区は閑静な住宅街に建つ「国指定史跡 荻外荘(近衞文麿旧宅)」を荻外荘公園として9日から公開します。
 荻外荘は1927(昭和2)年に、医師で大正天皇の侍医頭を務めた入澤達吉の別邸「楓荻荘」として建てられました。設計は築地本願寺など寺社建築で有名な建築家の伊東忠太です。
 五摂家筆頭である近衞家の長男として生まれ、貴族院議員でもあった近衞文麿は、37(昭和12)年6月に第1次内閣を組閣しました。激務に追われ、気分転換と心身の休養を図るために東京郊外に邸宅を求めていた近衛は、主治医であった入澤から同年12月にこの邸宅を譲り受けました。
 「荻外荘」の名は当時、近衞の後見人であった元老の西園寺公望が命名したもので、荻窪の外側に立地していたことによります。近衞の意に反して多くの政治家や軍人が荻外荘を訪れ、荻外荘は生活の場としてだけでなく、政治空間にもなっていきました。
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