欲に駆られて 大井哲爾(1)/私の競馬人生はここから/元江東区副区長 大井哲爾 我が家は明治時代から続く江戸深川の、それなりの肥料問屋であった。映画監督の小津安二郎の実家も、かつては肥料問屋であり、当時の問屋の番付にもその名がある。 もともと肥料は投機の対象であり、時に大もうけ、はたまたひどい損もしたらしい。父は私に肥料相場には絶対手を出すなと強く言っていた。その父も20年以上前に亡くなったが、その最後は銀座で馬券を買った帰りに(門前)仲町までのバスの中で脳梗塞を発して乗降口で倒れ、その際手に馬券を握りしめていたという見事なものであった。 その息子の私が書く思い出だから、ろくなものにはならない。しかし我々には反面教師というものが必ず必要である。この稿は14歳から馬の魅力に取りつかれ、「ばくち打ち 何が悪い」と開き直った不良公務員の自慢である。
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