東京の死角(23)/官製観光列島/人は何に感銘を受けるのか/地方自治ジャーナリスト 葉上太郎 イカキングをご存じだろうか。巨大なスルメイカのモニュメントだ。全長13メートル、高さ4メートル。能登半島の石川県能登町にあり、「無駄論争」で全国に知られた。 能登町はスルメイカの水揚げ地だ。町内にある小木港は、北海道・函館港、青森県・八戸港と並ぶ「日本三大イカ釣り漁港」とされている。だが、知名度が低い。町は「イカの町」をPRしようと2020年、「のと九十九湾観光交流センター(愛称・イカの駅つくモール)」を建設した。 小木港は三つの入江の総称で、イカの駅はこのうち最も風光明媚な九十九湾の湾奧に建てられた。建設費約5億2千万円。木造平屋建てで、物販コーナーやレストラン、観光案内所があるほか、シーカヤック、サップ、スキューバダイビングができる。指定管理者が運営し、遊覧船「イカす丸」も運航した。
|