「呆然とした。いつ再開できるか」
八丈町大賀郷で、島の特産品・アシタバの加工会社を経営する山田幸也さん(74)は肩を落とす。山田さんの工場は、8日から13日にかけて島を襲った台風22・23号によって外壁の大部分が吹き飛ばされ、加工場や事務所が冠水するなど甚大な被害を受けた。
「島にはアシタバの加工会社が複数あるが、『蒸らし』の工程を取り入れているのはうちだけ。こうすると、独特のクセや苦みが薄れる」。粉末や飲料など、40年にわたってアシタバを原料としたこだわりの加工食品を世に送り出し、考案した加工技術で特許も取得した。工場は島内を走る観光バスの立ち寄り地になるほどの盛況だったが、吹き込んだ風雨によって機械は浸水し、再開のめどは立っていない。