【新連載】池波正太郎と東京1/東京人(とうきょうびと)/浅草、上野がふるさと 作家・池波正太郎は、大正12年1月25日に旧東京市浅草区聖天町61番地で生まれた。現在の台東区浅草7丁目3番付近で、浅草寺の北東方向、寺の境内東側の二天門から歩いて10分ほどのところに、かつての聖天町がある。小さな丘の上に建つ待乳山聖天本龍院の裾(すそ)に池波の生家があった。 台東区にはここで生まれ育った作家、歌人、俳人などの文化人が85人ほどいる。安藤鶴夫、宇野信夫、永六輔、円地文子、川口松太郎、久保田万太郎、幸田露伴、小島政二郎、山田太一、よしもとばなな、ほか錚々(そうそう)たる方が名を連ねる。江戸時代からの文化的な土壌がこの人たちを育てたのであろう。池波正太郎もその一人だが、作家というものは何らかの形で、自分の育った環境、気風といったものが作品の中に反映されるものだと思うが、池波正太郎は特にこうした傾向が顕著な作家であった。エッセイ『男のリズム―散歩』(角川文庫)の中で次のように記している。(池波正太郎記念文庫 鶴松房治) (続きは本紙でお読み下さい。このシリーズは全7回です)
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