| インタビュー 石原都知事に聞く/国を変える素因つくった 「東京から日本を変える」と訴えて、石原都知事が就任してから、12年が過ぎようとしている。1期目に絶大な人気と、強力なリーダーシップで都政を引っ張ったものの、百条委員会と濱渦副知事の解任を契機に、そのカリスマ性は冷めて、都政は尻つぼみとなった。今春には都知事選が予定されているが、石原知事は「ケセラセラ」と煙に巻いて、去就を明言していない。予算議会を控えた石原知事に、3期12年を振り返ってもらい、今後の課題を聞いた。
――行政の複合性 12年前の選挙のときから知事は、「東京から日本を変える」と訴え続けてきました。日本は変わりましたか。 日本は、相変わらず変わらない。自民党時代と同じように、国家を官僚が支配している。 東京都は少し変わったと思う。国が変わる一つの素因をつくった。 福田和也氏が『なぜ日本人はかくも幼稚になったのか』という論文で、「幼稚」とはIQが低いとか、良識がないということではない、肝心なことが分からない人間が、幼稚な人間だと書いていた。そういう点では、私は大小肝心な点を考えてやってきた。 財政再建は、なぜできたのか。会計制度を変えたからだ。先進国の中で、単式簿記なんて馬鹿なことをやっているのは、日本だけだ。財務諸表のない国は、官僚が勝手なことができて、事業仕分けなんてバカなことをやらなければ、どうにもならない。やっても、ろくなものが出てこない。 バランスシートがあれば、そんなことをしないで済む。財政再建もできたし、健全な予算編成もできた。 新年度の予算で、神津島に多幸湾という奇麗なところがある。そこに土砂が埋まって、西風のときに船が港に着こうとすると引っかかるようになった。毎年、お金をかけて浚渫( しゅんせつ)しているが、それよりも海の中にテトラポッドを造って、砂を止めるようにしようと。そうすると、その事業を毎年繰り返すよりも、金利という意味では、新しい工法のほうがはるかに得だ。そういうことが複式簿記ならすぐ分かる。行政の複合性の問題だ。 (続きは本紙でお読み下さい)
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