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一人ひとりの取り組みこそ大切/都帰宅困難者対策条例の施行を前に/危機管理勉強会齋藤塾塾長 齋藤 實

高まる企業の関心
 大震災発生時に、「むやみに移動を開始しない」と一斉帰宅の抑制や、事業者に3日分の水や食糧等の備蓄に努める、一時滞在施設の確保などを内容とする「東京都帰宅困難者対策条例」が、4月1日から施行される。
 この条例施行前に、齋藤塾では1月29日、工学院大学で、企業の危機管理担当者ら約170人の参加を得て、「企業の帰宅困難者対策と法的課題」に関する勉強会を開催した。
 企業担当者等から事前に質問・要望事項を募り、講師の中野明安弁護士から法律面から見た考え方を解説していただいた。主な質疑は、次の通り。

 ─原則帰宅禁止としたが、それでも帰宅する社員への対応はどうするのか?
 「禁止する理由を説明し、本人から『自己責任で帰宅する』旨の同意書を徴する」
 ─就業規則に「帰宅禁止」と記載すれば、会社の指示・命令違反として罰せられるか。
 「出来ない」
 ─帰宅抑制に応じている従業員が余震で負傷した場合、労災が適用されるか。
 「原則、労働提供中の事故ではなく労災適用外。なお、就業中とみなされれば労災適用になる」
 ─来社中のお客様に帰宅抑制の指示が出せるのか。 
 「条例の趣旨からも、帰宅抑制を要請すべきである」
 ─保育園の園長から「速やかに引き取りに来てください」と言われ、会社から保育園に迎えに行く途中、大ケガをしたが、この医療費を保育園に請求出来ないか。
 「園長の要請と親の負傷に直接的な因果関係がなく、医療費の請求は出来ない。ただし、条例の趣旨を理解していない園長の対応は別問題」
 ─一時滞在施設として行政に協力したいが、施設内で負傷者が出た場合、その責任と補償は行政がしてくれるのか?
 「してくれないと考えるべき。一時滞在施設になる場合には、『その費用等は災害救助法で対処する』旨の行政との協定が必要ではないか」
 この他、「一時滞在施設を都は事前に公表すべきでないか」「全ての学校、幼稚園、保育園が率先して児童・生徒を帰宅させない指導をしてほしい」「都は従業員プラス10%増の備蓄計画を公表して」といった意見も出された。
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