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大気汚染の北京で庶民の「対策」を思う/臼井裕之

青空の日は数えるばかり
 中国に来る前から、こちらの大気汚染のことは聞いてはいたが、実際に来てみると、確かに奇麗な青空の日は数えるほどしかない。家の目の前の大通りに出ると、東の方に北京で一番高いというテレビタワー(中央広播電視塔)が見えるのだが、その雄姿も大抵は薄ぼんやりとしている。考えてみれば北京に着いてからずっと、何となくのどに痰(たん)が絡んだような状態が続いている。中国の人は路上で当たり構わず痰を吐くが、あれは大気汚染のためではないかと真面目に思ったほどだ。
 一昔前の中国のイメージは、通りで大勢の人が自転車に乗っている風景だったが、今や自転車の役割は完全に車に取って代わられている。朝夕のラッシュ時には幹線道路は大渋滞である。東京には自動車通勤の人などそれほどいなかったと思うのだが、北京ではそれが当たり前だ。渋滞を嫌う人は極端に早起きして出勤してくる。私の同僚のカメラマンも大抵、朝7時にはオフィスに着いている。
 大気汚染の原因の一つは、このあふれ返る自動車の排気ガスである。そこで路上を行く車の数を制限しようと、北京市はナンバープレートの番号で自動車の通行を制限している。平日については車を動かせない曜日が、末尾の番号によって決められているのだ。
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