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文化財を守った先輩―稲村坦元翁/元法政大学教授 段木一行

 東京都の文化財保護行政は、関東大震災2年前の1921年から始まった。初代の担当者は稲村坦元さんであった。坦元さんは禅僧で、あの慧眼に見つめられると、決して言葉を濁すことは出来なかった。しかし、酒が入ると好々爺然たるもので、よく脱線し元に戻ることなくそのまま寝入ってしまうのである。

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