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200年の時を越え/狐でにぎわう王子/北区立中央図書館地域資料専門員 保垣孝幸

 ここに1枚の絵がある。初代歌川広重(1797~1858)晩年の大作『名所江戸百景』のうち、「王子装束ゑの木大晦日の狐火」である。冷たく澄みわたった大みそかの夜。闇に包まれる田園風景の中、関東各地から集まった無数の狐たちと、その狐がともす狐火によって照らし出される2本の榎。名作と言われる『名所江戸百景』の中でも、伝承を画題としたこの異色作は、その幻想的風景と相まって傑作の名が高い。現在、東京都北区で大みそかの夜に行われている「王子狐の行列」は、この絵から着想を得て始まった。
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