| 社説/2011年都知事選/政治の原点は、どこへ 石原慎太郎氏は、なんと幸運な政治家だろう。
思わせぶりの言動で進退表明をズルズルと引っ張り、この作戦が奏功して名乗りを上げた有力候補は、ワタミ創業者の渡邉美樹氏と共産党推薦の小池晃氏の2人だけ。選挙戦術的には石原氏の勝ちだ。 さらに幸運なのは、何年も前からレームダックに陥っているのに、勢いのあった1期目の最大瞬間風速で3期目の都政の通信簿が付けられていることだ。各種団体協議会の常任世話人が「石原知事の指導力、アイデア、推進力、人を引き付ける力、そういうもので都は随分変わっていくと思う」と評価するのを聞いて、どこを見ているのだろうと思った。 普通の首長なら、新銀行東京で1016億円の公金を紙くずにしたことだけで、引責辞任に発展してもおかしくない。公私のけじめを踏み外したワンダーサイト事業、側近副知事の専横を許した無責任体質など、他の自治体に例のない失策を犯しながら4選待望論が起こっている。
本来、続投が望ましいかどうかは10年前の実績でなく、知事本人の都政に対する意欲と最近の行政運営で論じられるべきだが、「昔の名前」でノミネートされるというのは不思議な現象である。 なぜ、責任政党を自認する自民党や公明党は、勇退希望の石原氏に代わる候補を立てようとしないのか。仮に石原氏であったとして、これから都政をどのように動かしていくつもりだろうか。(続きは本紙でご覧下さい)
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