ESDが切り開く地域と世界/立教大学社会学部教授 阿部治 小中学校などの学校教育に果たすESDの役割については、これまでの連載で十二分に触れられています。「2050年の大人づくり」のスローガンの下、地域の様々な主体が連携・協働し、地域外との連携を取りながら進めている多摩市の事例は、子供たちが当事者として持続可能な地域(社会)づくりに主体的に関わる力を育む、すなわち市民性を育む素晴らしい教育実践です。多摩ニュータウン居住者の高齢化が進行していく中で地域の子供たちが世代を超えて大人たち(特に高齢者)と共にESDを進めていくことは子供や大人に未来への確信を持たせ、地域のレジリエンス(回復力)を高め、地域を元気にしています。学校や教育委員会、地元企業などによって多摩市ESD推進協議会が組織されていることでも分かるようにESDは持続可能な社会づくりを目指す多様な主体や人々、場などを「つなぐ装置」として機能しています。
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