カリオカの息吹(1)/情熱の街、人生を謳歌 2015年7月、ホテルのプールで空を眺めていた時を今でも鮮明に覚えている。ブラジルに赴任して3カ月も経つのに、日本とは別世界にいるためか、時折夢を見ているような心緒にさいなまれていた。換言すれば他人の人生を生きているかのような気分である。 プールで仰向けになり紺碧の空を見ると、1ヵ所だけ白煙が昇天し、その場所から轟音が鳴り響く。いつの頃か記憶が定かではないが、世界最大の滝が南米にあることを知った。ただ、自分の人生でそこを訪れる機会はないと思っていた。日本から見ると地球の裏側、飛行機で30時間、あまりにも遠い。海外に行くならもっと別の地を選ぶのが賢明だろう。再び襲う夢心地。胡蝶の夢、現実の世界はどこなのか。
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