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70%の壁~不燃化特区選定から5年(上)/合意形成/網羅から集中にシフト

 23区内では旧耐震基準の木造住宅が密集する、いわゆる「木密地域」のうち、地震時に大規模火災が誘発される危険性が高い地域が区総面積の約1割にも及んでいる。都は2012年、「木密地域不燃化10年プロジェクト」を立ち上げ、区が申請する「不燃化推進特定整備地区(不燃化特区)」に対して助成や事業支援メニューを提供し、区が主体的に不燃化事業を行う後押しをしてきた。都が先行実施地区に11区の12地区を選定してから5年。各区は取り組みを続けているが、目標の不燃領域率70%の達成には高い壁が立ちはだかる。2回にわたり、先行実施地区の現状を追う。
 幹線道路から一本脇道に入った住宅街。狭い道を人や自転車がぶつからないように行き交い、立ち並ぶ家々の中には昔懐かしい木造家屋が点々と見受けられる。防災上の課題が多いことを理由に指定を受けられる不燃化特区内に息づいているのは、他の地区でも見られそうな生活風景だ。
 不燃化特区制度は、家屋の除却や新築の設計・工事費に対する一部助成、都市計画税と固定資産税の5年間減免などをメニューとして備えている。先行実施地区11区の担当者に聞くと、共通して特区の導入により不燃化が加速したと話すが、20年度までに目標に到達するめどがついている地区は約半数。
 
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