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真のインクルージョンとは/『おクジラさま~ふたつの正義の物語』佐々木芽生監督に聞く

2009年に長編ドキュメンタリー部門でのアカデミー賞を受賞した『ザ・コーヴ』で世界の注目の的となった和歌山県太地町のイルカ漁。世界中から批判の声が集まる日本の小さな町を追ったドキュメンタリー映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』が現在上映中だ。価値観の違いをいかに受け入れるか。日本の小さな町で起きている物語は、2020年東京五輪を前に、ダイバーシティーとインクルージョンが課題となる東京にも通じる。6年にわたり撮り続けた佐々木芽(めぐ)生(み)監督に話を聞いた。
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 「『ザ・コーブ』を見て、本当によくできた映画だと衝撃を受けたが、日本から何の反論の声も聞こえてこなかったのがすごくショックだった。描かれ方には誤解もあるし、日本への無理解、偏見も含め、誰も声を上げない。どうしてかと驚いた」。佐々木監督は映画を撮り始めたきっかけをこう語る。
 映画では、イルカ漁の漁師と、漁をやめさせようと太地町で反対活動する環境保護団体「シーシェパード」、それを取り巻く内外の関係者や、記者らの目を通じて問題の本質を探ろうとする。
 イルカ漁は先祖代々から続く大切な文化だと話す太地町の漁師たちと、イルカは家畜と異なり、自然界の動物で頭がよく、「特別な生き物」なので、捕鯨を禁止しろと主張するシーシェパード。ぶつかり合う二つの「正義」を前に、カメラを回す佐々木監督自身も「正義とは何か」が分からなくなったという。そして「太地町で起きていることが世界中の紛争など、価値観の衝突と同じだとの思いに至った」と話す。
 異なる価値観の衝突を解決に導くには何が必要か。映画に出てくる右翼団体の男が放つ言葉が印象的だ。
 「最初はシーシェパードが来たからびっくりしたのよ。なんだよ、あいつはって思ったけど、
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