新春随想/排除ではなく受け入れること/ドキュメンタリー映画監督 佐々木芽生 私は和歌山県太地町で、イルカ漁を巡ってぶつかる二つの価値観を6年間にわたって追ったドキュメンタリー映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』を制作しました。ドキュメンタリー部門でアカデミー賞を受賞した『ザ・コーブ』の舞台になった町です。 イルカ漁は先祖代々から続いた大切な文化だという太地町の漁師たちと、イルカは家畜と異なり、頭が良い「特別な生き物」なので捕鯨を禁止しろという自然保護団体「シーシェパード」。お互いに「自分たちは正しい」というところから一歩も踏み出せず、いつもそこで議論がストップしていました。 でも、ユダヤ・キリスト教的な一神教の考えと、日本の仏教や神道の自然観は全然違います。例えば、捕鯨は日本の伝統だといいますが、長く続いたものはできるだけ将来も続けていきたいという日本人と、伝統が今の時代に合うのかを様々な形で議論してきた西洋人では伝統の考え方が違います。一神教の西洋では、ヒエラルキーの一番上に人間がいて、その下に動物がいて植物がいる。でも、それでよいのかと哲学者や科学者、神学者を交えて何世紀にもわたり議論してきた。その結果、イルカやクジラのように、人間に近いと思われる生き物を守るという結論に達しました。お互いそういうところから理解しなければなりません。 都政新報・電子版(http://www.tosei-d.com/)にご登録(有料)することで全文をお読みいただけます。Facebookページ(http://www.facebook.com/denshiban.toseishimpo)の「ちょこっとタダ読み」で記事の一部をお読みいただけます。
|