戦略ビジョンを策定/2030年代に向け120プロジェクト
都は27日、2040年代の東京の将来像とそれに向けた道筋を示す「戦略ビジョン」を策定した。「バックキャスト」の視点で将来を展望し、2030年に向けて子育てや高齢社会対策、IT、住宅、多摩・島嶼振興など、20の戦略と120の推進プロジェクトを打ち出している。 子ども施策では目標とした合計特殊出生率2.07の実現に向けて、「チーム2.07」(仮称)を発足させ、子どもを社会の最優先とするマインドへの変革を試みる。長寿は認知症対策などが柱。健康長寿医療センターが培った臨床・研究に関するビッグデータを活用し、AIを駆使した新たな予防の取り組みを推進するとした。 防災まちづくりでは、昨秋の台風による浸水被害を踏まえ、調節池の整備を加速させ、新たに約150万㎥分を事業化する。豪雨対策アクションプランや無電柱化を加速化させるための戦略を策定する方針も示した。 環境では、外濠の浄化に取り組む。暗渠区間の改良や導水路の新設で整備方法を検討するほか、降雨初期の下水の貯留施設を外堀通りの地下に整備する。 住宅に関しては、都営住宅の交流スペースなどを活用し、高齢者が利用する「おとな食堂」(仮称)を100カ所開設し、コミュニティの活性化を図る。 多摩・島嶼振興も章立てし、体験型英語学習施設「Tokyo Global Gateway」(江東区)の特長を備えた環境を多摩地域でも整える。また、市町村の相談を一元的に受け止める「地域まちづくり推進部署」(仮称)を開設する。 戦略ビジョンに合わせて、都は財政収支の長期推計も提示。中位推計でも2030年代には収支ギャップのマイナスが拡大するとして、小池知事は同日の定例記者会見で、「未来への投資で厳しい環境を乗り越えて、成長が財源を生み、更なる政策へつながる好循環を生み出すことは重要」と述べた。
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