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総合防災訓練 リアリティーを追求した実践的な内容に

東京都は、都立小金井公園を中心に、その周辺の小平市、西東京市、武蔵野市、小金井市と合同で、2011年度総合防災訓練を10月29日(土)に実施する。今回は、多摩直下を震源とする地震被害を想定した内容。東日本大震災後、初めての総合防災訓練で、これまで以上にリアリティーがあり、かつ実践的な訓練を目指している。

■大震災の教訓
 総合防災訓練は、これまで特別区・島しょ地域と多摩地域で交互に実施してきた。今年度は、多摩地域となる。
 毎年、9月1日の「防災の日」前後に実施し、今年度も当初は、8月28日を予定していた。しかし、3月11日に東日本大震災が発生し、警察・消防・自衛隊など、多くの防災機関が被災地で大規模な活動を展開してきたことなどから、実施時期を約2カ月遅らせ、10月29日に行うことになった。
 また、今回は東日本大震災後、初めての総合防災訓練であり、大震災の経験から得た教訓を生かすため、内容を大幅に見直し、実践的な訓練を盛り込んでいる。
■ブラインド訓練
 大きな変更点の一つは、訓練のシナリオをあらかじめ参加者に示さない「ブラインド訓練」の実施だ。通常の訓練は、被害状況や参加者それぞれの役割、手順などの情報をあらかじめ共有した上で、定められた手順通りにできるかどうかを検証する。
 しかし、東日本大震災のような広域にわたる被害が発生した場合には、外国からの部隊を含む多数の応援部隊が現地に集結することから、各機関同士がスムーズに連携し、効率的に活動することが求められる。
 このため今回は、多数の倒壊家屋がある現場で、初めて顔を合わせた自衛隊・警察・消防の各機関が、その場で初めて要救助者の状況を知らされ、相互に話し合い、連携して臨機応変に救出・救助を行う訓練を実施する。
 この訓練には、アジア大都市ネットワーク21の加盟都市であるソウル、シンガポール、台北の消防隊も加わることになっており、まさに、その場での実践力を鍛える訓練となっている。
 このほかにも、食糧・医薬品等の救援物資を仕分けして避難所へ搬送する訓練、避難所の運営訓練でもブラインド方式を取り入れる予定とのことで、訓練の詳細は明らかにされていない。
■「共助」の推進
 もう一つの目玉は、都民が隣近所同士で助け合う「自助・共助」の取り組みを訓練の中で実践することだ。
 参加4市の市民約2千人が集まり、顔見知りの隣近所で倒壊家屋やがれきの中から被災者を救出する訓練を実施する。参加者は、当日、消防団員からバールなど救出救助に必要な道具の使い方、身の回り品を使ったけが人の応急救護・搬送方法などのレクチャーを受け、訓練に参加する。これだけの規模で共助の訓練を実施するのは初めてという。
■避難生活の体験訓練
 このほかにも、避難所から応急仮設住宅での生活、その後の復興までの避難生活の移り変わりを体験する「避難生活体験訓練」を市民の参加で実施する。この会場では、実際に使われる応急仮設住宅が建ち並び、被災地でも活躍した自衛隊の屋外入浴施設なども展示される。
 また、医療関係機関が連携し、トリアージ、傷病者の応急手当、病院搬送等、被災現場での医療の実践を行う医療救護訓練も実施する。全般的にリアリティーを重視し、「実践力の向上」を目指す内容となっている。
■臨海部で高潮・津波/対策訓練
 さらに、臨海部では、総合防災訓練の一環として初めて高潮・津波対策訓練を実施する。東日本大震災では、大津波の襲来により、行政機能そのものが失われるなど、壊滅的な被害が発生した。改めて東京湾の高潮・津波対策を確認するため、東京湾と国や都が管理する河川の全ての水門を閉鎖する。
 晴海地区ではこれに加え、「陸こう」を全て閉鎖する。海につながる道路を遮断し、あわせて住民の避難訓練も行う。臨海部の訓練は関係局がそれぞれ行ってきたが、総合防災訓練として実施することで、関係機関の連携強化を図る。
 都では、こうした訓練を実施する中で明らかになった課題を集約し、地域防災計画の見直しや実践対応力の向上につなげていく考えだ。

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