五輪招致「場当たり的」と冷めた視線 2016年オリンピック招致の国内候補地に東京が決まった。しかし、職員アンケートでは、五輪招致を「評価できる」「どちらかというと評価できる」としたのは、35%にとどまっている。 逆に、「評価できない」など否定的な回答が63%にのぼり、都政の目玉となっているオリンピック招致に対して、職員は予想以上に冷めた目を向けていることが分かる。 年齢別に見ると、35歳~39歳の層で25%、40~44歳の層で30%と、40歳前後の年代で、特にオリンピック招致を評価する割合が低い。20歳代や30歳代前半、50歳代の年代では、4割前後がオリンピック招致に肯定的な回答をしている。 否定的な評価をした人に理由を聞いたところ、「少子高齢化など、優先すべき課題が多い」が91%と最も大きかった。特に、否定的評価の多かった35~39歳のなかでは、97%がこの項目に「はい」と回答しており、他の項目よりも高い率を占めた。子育て世代を中心に、五輪招致に伴う財政負担よりも、福祉施策などの充実を求める意見が広がっていることが見えてくる。 このほかに評価できない理由として多かったのは、「長期ビジョンがないなかでの場当たり的な対応」「都民の関心が薄いなかでの五輪招致に疑問」などだった。時代状況に合っていないとする意見も多く、都政の将来を考えたときに、オリンピック招致の必要性や位置づけが見えていないという疑問を職員が感じていることが、五輪招致に冷めた意見が多い理由となっているようだ。 逆に五輪招致を評価している理由を聞くと、「国際都市東京を世界にアピールできる」が86%と最も多かった。続いて多かったのは、「外郭道路など懸案のハード事業が促進できる」(85%)、「都市再生の起爆剤になる」(82%)、「景気浮揚につながる」(82%)などで、経済効果や、ハード整備の促進などへの期待が高い。 臨海三セク9割が容認 05年4月に石原知事の肝いりで設立した新銀行東京だが、中間決算で赤字額が拡大するなど、苦戦を強いられている。 新銀行について評価を聞くと、「本当に困っている中小企業を救うことができていない」(73%)、「巨額の赤字が予想され、他行との統合を推進すべき」(72%)、「都が自ら、行政として設置する意義はなかった」(70%)と、厳しい見方が多かった。 石原知事も、昨年11月に会見で、「違う業態展開をしないといけない」と示唆しているなか、職員のなかでも新銀行の業務に関する抜本的な見直しが必要とする意見が広がっている。新銀行の創設によって、「他の金融機関の無担保融資を促すきっかけになった」とするのは、56%だった。 東京テレポートセンターなど臨海三セク3社が民事再生法の適用を申請し、昨年12月末に債権者集会で再生計画案が可決されている。この再生計画については、「巨額の債務を抱えた現状を考えると、やむを得ない」が87%で、多くの職員が容認する考えを持っていることが分かる。これに続いたのが「民事再生は事実上の破綻。責任問題を明確にすべき」(78%)、「金利上昇など金融環境の変化を踏まえた当然の措置」(77%)だった。 (2007年1月16日付) ■知事会見のやりとり 2007年1月12日の知事会見で、本紙のアンケートについてやり取りがあった。主な内容は以下の通り。 「そういう数字をいちいちあげつらってもね。そういう調査は、何もそれほど信憑性のあるものではない。限られた人間にそういう意見を聞いて、それをもって、すべてを判断するわけにはいかない」
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