特別区の管理職選考は、大きな曲がり角を迎えている。前回の改正は「改悪」であったと言わざるを得ない。 各区の管理職のみならず、多くの職員はその点を感じているはずである。でも、典型的なトップダウンで改悪された制度について、明瞭な声として異議が唱えられることは少ない。 まず、ほとんどの受験者が勉強しなくなった。2.類選考の倍率が実質的にゼロに等しくなってから数年たつ。受験者は敏感だ。どのように処すればよいかを本能的に嗅ぎ分ける。合格が期待されている者でも試験日の前日、飲みに行く。 飲むことが問題なのではない。そのような緊張感の欠如が問題なのだ。「あれでも受かる」。周りの職員にそう思われるような制度が良い制度であるはずがない。 合格者のその後も追跡調査が必要だ。実際、区政は変わったのだろうか? 昇任者を見ていて、決定的に欠けていると思うのは、組織管理の手法の稚拙さだ。 何か一つの係で問題が発生した時に、すぐ係長会を開く。こんなことがあるわけがない。 多分、これは筆記選考の内容が変わったことにも原因がある。以前は組織管理の方法論が都や区の職員ハンドブックにも詳述されていた。一応、我々も勉強した。 今の記述試験はおざなりだ。筆記試験にもそのような問題が出ない。口答試問、2.類の筆記には組織論も出題されるらしいが、多分ろくな解答はない。高校野球の女子マネをまねて、ドラッカーを熟読するとよい。 この他にも、問題は山積している。23区の財産という以上、客観的な能力の裏づけが必要だ。前回改正の最大の眼目は、各区ごとに合格者の数を決めるということだ。そして、この合格者は各区の受験者の中から選ばれる。 例えば、A区の需要数が3人、B区の需要数が10人。A区の4番目の成績者が、たとえ23区で第4位でも、またB区の合格者第1位より成績が良くても不合格。これで本当にいいの? (ブラン・エ・ノワール) |