都政人生40年間で何と言っても秘書部長としての石原知事との3年間は、とっても大きな経験であり学ぶことが多かった。 出会いは1999年。知事就任直後の大島視察で大島支庁長として出迎えた時であった。これまでは歴代知事の視察の際は花吹雪・お手植えが慣習であった。しかし財政危機で職員の給料カットが議論されている中、自分達のボスを迎えるのに大げさであると思い、職員には自席での迎えを指示した。 そのことが知事の考えと合致し、翌年4月に秘書担当として異動となった。当時、知事の職員に対する信頼関係は必ずしも出来ておらず、難しい知事との対応に人事担当より特別の注文もあった。 しかし私自身の感想は、石原知事は厳しい人ではあるが、率直で繊細な人だと何か見えないオーラを感じた。その後、分刻みで日程をこなす日々であったが、知事の差別発言やマスコミ対応など数々の課題が目白押しであった。ときには知事から「橋本君はどう思う」と聞かれ、率直に自分自身の厳しい意見を述べた。 知事は職員の声を聞く耳を持っており、ブリーフィングに来る幹部には雰囲気に押されることなく、厳しい意見も率直に伝えるようアドバイスをさせていただいた。 長い間、行政組織の中で仕事をしてきた我々にとって、視点の違う石原知事は厳しくもあり、煙たい存在でもあったが、近くで仕事をする職員の中ではカリスマ知事であるとともに、ときに優しいオヤジでもあった。最後まで知事の職責を貫いてほしい。 (はしもと・やすお=元中央卸売市場理事・前東京都市長会事務局長)
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